壁に白い糸が一本、付いていた。香奈はそっと摘んで捨てようとしたが、糸はするする引っ張られて長くなっただけだった。よくよく見れば壁に小さな穴が開いており、そこから糸は出てくるようだった。
何となく気味が悪くなったが、そのままにしておくのも嫌だと思い、香奈は糸を引っ張った。するりするりとどこまでも糸が出てくる。
糸はごく普通の手縫い糸のようだった。
――壁の中に糸巻きでも埋まっているのだろうか。
壁に頭をくっつけて穴を覗き込んで見たけれど、奥は暗くて何も見えない。香奈は裁縫箱から空いた糸巻きを取り出して、糸をくるくる巻きつけた。糸巻きを巻きつけ終わってもまだ糸は途切れことがない。香奈はもう一つ糸巻きを取り出し、巻きつけた。糸を引っ張りながら巻きつけていると、まるで糸を紡いでいるような気分になる。少し楽しくなって、また一つ、また一つと糸巻きに糸を巻きつける。香奈のそばには白い糸巻きの山が出来た。やがて裁縫箱の空いた糸巻きはなくなってしまったので、香奈は厚紙を切ってそれに糸を巻きつけた。
厚紙の糸巻きの山が出来るころ、不意に糸が重くなった。糸がなくなってしまったのだ。香奈は寂しくなった。壁の裏を調べようと、立ち上がり部屋を出て隣の部屋に向かった。
するとそこには香奈の母がいた。
「おかあさん」
香奈が呼びかけたがもう遅い。母はすっかりほどけてしまって、あとには細くなった芯ばかり。
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今日は「い」→「糸」。
ひきこもりニートを表現してみました(笑)
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何となく気味が悪くなったが、そのままにしておくのも嫌だと思い、香奈は糸を引っ張った。するりするりとどこまでも糸が出てくる。
糸はごく普通の手縫い糸のようだった。
――壁の中に糸巻きでも埋まっているのだろうか。
壁に頭をくっつけて穴を覗き込んで見たけれど、奥は暗くて何も見えない。香奈は裁縫箱から空いた糸巻きを取り出して、糸をくるくる巻きつけた。糸巻きを巻きつけ終わってもまだ糸は途切れことがない。香奈はもう一つ糸巻きを取り出し、巻きつけた。糸を引っ張りながら巻きつけていると、まるで糸を紡いでいるような気分になる。少し楽しくなって、また一つ、また一つと糸巻きに糸を巻きつける。香奈のそばには白い糸巻きの山が出来た。やがて裁縫箱の空いた糸巻きはなくなってしまったので、香奈は厚紙を切ってそれに糸を巻きつけた。
厚紙の糸巻きの山が出来るころ、不意に糸が重くなった。糸がなくなってしまったのだ。香奈は寂しくなった。壁の裏を調べようと、立ち上がり部屋を出て隣の部屋に向かった。
するとそこには香奈の母がいた。
「おかあさん」
香奈が呼びかけたがもう遅い。母はすっかりほどけてしまって、あとには細くなった芯ばかり。
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今日は「い」→「糸」。
ひきこもりニートを表現してみました(笑)
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